いつしか夢をみることを忘れてしまった。
そんな大人にぜひ読んでほしい一冊です。
今回は「アルケミスト-夢を旅した少年-」をご紹介いたします。
アルケミスト-夢を旅した少年-
作者パウロ・コエーリョは1947年ブラジル生まれの作家さん。
著作の多くがベストセラーとなり、81カ国語に翻訳、170カ国以上で累計2億部以上売り上げています。
世界中で読まれた本ベスト5位!このランキングの1位は聖書だというのでこれは驚きの数字です!
あらすじ
スペインのアンダルシアに住む羊飼いの少年サンチャゴは夢の中で見た宝物を探しにエジプトのピラミッドまで旅に出ます。
羊たちとは別れ、タリファ港より海を越え、タンジェの街に降り立ち、またそこからサハラ砂漠を越えてエジプトのピラミッドまで目指します。
「何かを強く望めば宇宙の全てが協力して実現するように助けてくれる」
「前兆に従うこと」
セイラムの王様、泥棒、運命の女性、錬金術師、、
サンチャゴは旅の道中で出会いと別れを繰り返し人生の知恵を学んでいきます。
夢を追う人と夢を諦める人
人生に折り合いをつける人
人は誰しも子供の頃に夢をみます。
だけど大人になるとその夢から目を逸らし、自分の宿命から逃げられないと不幸の道を自らが選んでしまいます。
「旅をし続けたいなら羊飼いになればいい。」
しかし、多くの人は羊飼いではなくパン屋を選んでしまいます。
パン屋の方がいわゆる“立派”だから。
親たちだって大切な娘を羊飼いよりはパン屋に嫁に出したいと願うでしょう。
結局のところ、人は自分の運命より、他人がどう思うかの方がもっと大切になってしまうものです。
「夢を追うこと」を軽視する風潮は今も昔も変わらないのかもしれません。
私たちは夢が叶わないと思い込み、自らが夢から遠ざかることって少なくないですよね。
アルケミストはそんな「おとな」になってしまった私たちに夢を追い続けることの大切さを教えてくれます。
夢を追い続ける少年
決して裕福ではないサンチャゴの夢は旅をすることでした。
しかし、アンダルシアへ訪れる旅人たちはみんなお金持ちです。
貧しい人が旅をするには羊飼いになるしかなかったので、少年は羊飼いになることを選びました。
父は息子を祝福し、子に夢を託したのでした。
そう、父もまた自分の人生に折り合いをつけてしまった人間の1人だったのです。
パン屋の願いはこうらしい。
立派なパン屋を作り、お金を貯めて、老後に1ヶ月くらいアフリカ旅行へ行くのが夢なんだとか。
羊飼いになれば今すぐに叶えられる夢なのに、どうも多くの人はパン屋を選んでしまうらしい。
老後は南国でのんびり暮らしたいなあ、なんてことを考える人は少なくないはず。
しかし、そう考える人は老後に本当に南国に住むでしょうか?
南国に住むことが最たる夢なら今からだって可能です。方法はいくらでもあります。
だけど、多くの人は現状を変えようとはしません。
今ある現状を手放したくないのです。
結局私たちは変化を恐れて夢を遠ざけてしまっているんですよね。
幸せの秘訣
旅を始めたサンチャゴに賢者はこう言いました。
2滴の油が入ったスプーンを持ちながら、決して油をこぼさないように宮殿を見て回って来い、と。
すると、少年は油に気を取られすぎて宮殿を見ることができませんでした。
次に、しっかりと宮殿を見て私の世界を知りなさい、と言った。
すると、少年は感動しながら帰ってきましたが、スプーンの中の油は無くなっていたのでした。
賢者は少年サンチャゴにこう教えてくれます。
「幸福の秘密とは世界のすべての素晴らしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ」
・心に従い夢を追い続けること
どちらも欠かさずにバランスを保つこと幸福になるには欠かせない項目です。
夢を追い続けながらも家族や友人などを大切にすることを忘れずに。
〜感想〜
私はこの「アルケミスト-夢を旅した少年-」を読んで、サンチャゴが旅をするように”心の声に従って生きること”を大切にしたいと思いました。
いつからか他人の目ばかりが気になって、自分の心の声を聞くことを忘れてしまうことがあります。
それが大人になることなのだと思っていました。
しかし、それは大きな間違いでした。
他人の人生を生きるために私たちは生きているわけではありません。
心から願ったことは、きっと実現できるはず。「できなっこない」のフィルターさえ外すことができれば。
強く望めば宇宙のすべてが協力してくれるというのは本当だと思います。
自分の心を裏切ってばかりいたら、きっと宇宙だって力は貸してくれないですよね。
〜〜〜〜〜
物語の最後にサンチャゴは宝物のありかを見つけます。
その時のサンチャゴの喜びはきっと2種類あったんじゃないかなあと思います。
ひとつは宝物のありかが分かったこと。
もうひとつは宝物がある場所の本当の意味を見つけたから。
ここはぜひ本書を読んで、意味を感じていただけたら嬉しいです。
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〜独り言〜
サンチャゴが旅で通った軌跡を私は知っています。それは偶然のことでした。
アンダルシアからエジプトのピラミッドへ行くには海を越え、サハラ砂漠を越えなければなりません。
スペインからモロッコのタンジェ港へ行く航路は2つあります。
スペインのタリファ港、もしくはアルヘシラス港から向かいます。
私はどうしてもアフリカ大陸からヨーロッパへ海を越えて行きたいという夢があり、旅をしました。
当初の計画ではタンジェからアルヘシラスへ行こうと計画していましたが、出航の前日に探して、泊まった宿はなんとタリファ港へ向かう港でした!(タンジェには港が2つありその距離はおよそ45km!)
痛恨のミス。朝日のぼる早朝、船に乗る直前になって初めて気づきました。
「やっちまった」
誰にも聞こえない声で独り言。
だけどそんな間違いを犯したからこそ、私はサンチャゴが降り立った旧タンジェ港を通り、タリファ港にも辿り着きました。
サンチャゴが通る道はすぐに脳裏に浮かびました。
あぁ、サンチャゴはあの港に降りたのか、と。
そしてこの描写が伝える景色を私は知っている。
なんだか、私はあのときサンチャゴと会ってたんじゃないかと心が弾んでしまいました。
そしてサハラ砂漠。
私が行った時は砂嵐に晒されとてもじゃないけど星空なんか見られませんでした(目的は星空鑑賞だったのに!)。
だけど、あの風はサンチャゴが起こしたものだったのかもしれないなあ、なんて思えたり。
また近い将来に星空を見るためにリベンジサハラをしたいなと思っていたけど、この本を読んでその願いは私の中で絶対になりました。
私は必ずまたあの場所へ行こう。
この本と出会えたのは私にとっての前兆なのかもしれない。
それともこの本が私にとって特別になるように、あのときの迷子こそが前兆だったのかな?
どちらにせよ、この本が私の宝物のひとつになったことは間違いありません。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
夢を追い続けること、そして身近な人も大切にすること、そのどちらも欠けてしまってはいけません。
人生に迷いがある方はこの本を手に取ってみてください。
迷いがあるときにこそ指針となってくれそうな、とても力強い作品です。
さいごまで読んでいただきありがとうございました。
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